今回は企業間の電子調達(通称:B2B Online Punch-out)においての製品分類コードの話です。
我々にとって馴染みのあるオンライン・コマースの世界では、一社が多数の購買者に製品を販売するという背景から、販売者側が固有で独自の製品分類コードを持って製品管理をすることがほぼ全てです。また、アマゾンやイーベイのような「マーケットプレイス」では多数が販売者であり多数が購買者ではありますが、アマゾンやイーベイといったマーケットプレイス運営者が所有するシステム上で全てが行われるので、彼らマーケットプレイス運営者が固有で独自の製品分類コードを持って製品管理を管理しています。
しかしながら、国際的で規模が大きいB2Bの世界では、販売者と購買者のシステムがインターネットを介して連携するので、国際的なルールとして「UNSPSC(United Nations Standard Products and Services Code)」と言う、製品の有形無形を問わず地球上ほぼ全ての製品を包括して分類した製品分類コードを国連が定めています。
https://www.unspsc.org/
UNSPSCは2桁の数字が5つ連なった合計10桁の数値で、先頭から2桁ごとの製品の階層区分を表します。例えば「4320150114」と言うUNSPSCがあるとします。この数値が示す製品区分は、この10桁を2桁ずつ区切って「43-20-15-01-14」となるので下記の「コンピュータのスウィッチボックスのドッキングステーション(小売り向け製品)」であることがわかります。
Hierarchy | Category Number | Name |
Segment | 43 | Information Technology Broadcasting and Telecommunications Communications Devices and Accessories |
Family | 20 | Components for information technology or broadcasting or telecommunications Computer Equipment and Accessories |
Class | 15 | Computers Computer accessories |
Commodity | 01 | Computer switch boxes Docking stations |
Business Function | 14 | Retail |
UNSPSCの定義(コードの一覧表)は、最新バージョンは上記のサイトで100USD支払うとダウンロードできます。また、旧バージョンであれば無料でダウンロードできます。フォーマットはPDFかエクセルかXMLです。エクセル形式ファイルでダウンロードすると、開いた時に文字コードの相違から文字化けする場合があります。英語版が原盤で、その他の言語へはボランティアベースで翻訳されています。
企業間の取引では売り手が使っているUNSPSCのバージョンと買い手が使っているUNSPSCのバージョンが異なる場合があります。基本的にバージョンが上がっても同一UNSPSCの定義は変わらないことがほとんどですが、細分化がされるので、このバージョンに相違があると両者で保持したいUNSPSCに相違が発生してしまう場合があります。多くの場合、買い手はこのUNSPSCをそのまま資材調達管理に使うので、多くの場合、売り手が買い手のUNSPSCバージョンに合わせて上げる必要が(買い手の方が強いと言う力関係もあり)出てきます。例えば、
-
売り手が定義するUNSPSC: 4320150100(Commodityレベルで荒く規定している)
買い手が定義するUNSPSC: 4320150114(Business Functionレベルまできっちり規定している)
の場合、買い手に合わせて詳細に規定されたUNSPSCをデータに付与してあげる必要があります。
このような場合を想定して、売り手側には「webMethods Integration Server(ウェブメソッズ・インテグレーションサーバー)」や「Microsoft BizTalk(マイクロソフト・ビズトーク)」のようなデータマッピング変換機能を備えたサーバーをフロントにおいてこれを介して送受信するデータをカスタマイズするのが一般的です。ウェブメソッズ・インテグレーションサーバーでは「カスタムマッピング・テーブル」と言う「データのこの項目が正規表現でこの文字列にマッチしたら、こちらのデータをこうかえる」と言うような変換設定を登録することで可能になります。
なかなか知られないB2B Online Commerceの世界ですが、市場規模はB2Cの20倍ほどある巨大マーケットです。専門的知識や経験に基づくアドバイスは弊社で提供できます。