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閑話 – お金とは何かを考える

 今回は技術ブログを離れて、全ての人々の人生に関係がある「お金」について考えてみる回です。

 皆さんはお金について下記の質問を受けたらどのような答えをするでしょうか?

  • あなたの表現を用いるとお金とは何でしょうか?
  • あなたの今後の人生に必要なお金は合計でいくらですか?
     この2つの質問は我々が自分の人生とお金の関係について正しい(=自分の人生の目的にかなった)認識を持っているかを測るうえで非常に本質的な問いを含んでいます。これらの問いに対して返ってくるであろう答えには下記のものがあるでしょう。

    1. あなたの表現を用いるとお金とは何でしょうか?

     最もシンプルで多くの人々が答えるのは「物やサービスを買うための道具」といったものでしょう。その道具としての特徴として「腐らずに保存できる」や「小さくて軽くて持ち運びに便利」といった機能があると。しかし、このレベルの答えを持って人生を送ると、俗にいう「金の亡者」として人生を終えることになります。

     また、別の答えとして「価値に関する共通認識を保存や持ち運びが容易な形式に一般化した物」というような概念的な答えをする人もいるでしょう。正しいかと言えば正しいのでしょうが、我々がお金と共に幸せな人生を送るためには十分な答えでは無いと思います。なぜなら、そこには「我々は幸せな人生を送るためにはお金とどのように付き合えば良いか?」という問いには答えていないからです。我々は、意識的にか無意識にかは別にして、何かしらの目的を持って幸せになろうとして生きているのですから、この観点での答えが重要です。

     私がしっくりしていると感じている表現が「ガソリンが車を動かし、電気が家電製品を動かすように、お金は人を動かすエネルギーのようなもの」という表現です。この表現だと、従来は紙の紙幣という物体に具現化されていましたが、昨今ではデジタルマネーという形のないものになったお金の現状に馴染みますし。同時に、逆に言えば、ガソリンを入れても動かない車もあるし、電気を流しても動かない家電製品もあるように、お金でも動かない人もいます。我々が手にしているお金(通貨)に対して共通の価値を見出す自分以外の他の人に何かをしていただくうえで投入するエネルギー。

    2. あなたの今後の人生に必要なお金は合計でいくらですか?

     上記のように、お金が「人を動かすエネルギー」だと考えると、「自分の人生では誰に何をどれだけしていただく必要があるか」によって今後の人生に必要なお金の合計が定まってきます。この質問に「100億円」や「決められない」と答える人は、この「自分の人生では誰に何をどれだけしていただく必要があるか」という問いかけを自分自身にしておらず、自分の人生プランが定まっていない人と言えます。

     確かに、社会貢献のために大きな動物保護施設を世界中に作りたいというような人は100億円を必要とするかもしれませんが、それが個人の資産として存在しなくてもよく、同じ貢献をしたい人々から出資を募って費用にあてても目的は達成されるはずです。また、年収1,000万円でサラリーマンをすることで生涯年収が2-3億円である歴然とした事実があるにもかかわらず、「では、その生涯年収分を今渡すけど、今後はびた一文の収入は無しでもいいか?」と問うと人は不安になります。不思議です。

    3. 人と教育とお金と人工知能

     「酒と泪と男と女 by 河島英五」のような響きです。

     結局、闇雲に「もっと、もっと!まだ足りない、まだ足りない!」と常に満たされないお金の亡者にならないで生きるためには、自分の人生で叶えたい目的を決め、そのために誰に何をどれだけしていただく必要があるのかと見定めることが重要です。出費を減らすには自分の能力を高め、人様にお金を払ってお願いするしか無いことを減らす。この判断にとって重要なのが「教育」です。自分が生きる世界の仕組みや出来ること出来ないことや理由を理解することで、自身の出来ること人様にお願いすることが見えます。教育の意義はここにあります。

     もし、山奥で畑を耕して、湧き水を飲んで、本を読みながら、焚き火の灯りで過ごせれば良いという人がいれば、人様にお願いすることは無いでしょう。その人にはお金は無意味です。また、「タイムマシンが欲しい!」と願う人には、どこに行ってもタイムマシンは買えないので、お金がどれだけあってもタイムマシンは買えず、無意味です。このように、必要なお金の額は「自分の人生で叶えたい目的を決め、そのために誰に何をどれだけしていただく必要があるのか」によって決まります。

     これまでは、専門的知識や絶対的に時間がかかることはお金を払って人様にお願いするしか選択肢がありませんでした(例:医療・法律・会計・長時間労働など)。しかし、そうやって人様にお願いしなくても自分の所有権が及ぶ範囲内でできるようにしてくれそうなテクノロジーが「人工知能」なのです。別の言い方をすれば、これまでに「人間という物理的存在」や「時間的制限」という枠に囚われてできなかったことができるようになるのが人工知能に期待されているのです。かつて情報が紙に書かれていて、遠隔地に伝えるには郵便で送るしかなかったものが、「紙」と「情報」を分離して遠隔地に電気的に情報だけを送ることができるようになったのと似ています。


     お金に心を奪われず幸せに生きるために、自分の人生の目的と段取りを明確にしましょう。恐怖にではなく希望にドライブされる人生を送るため、自分にできることと出来ないことを変なプライドを捨てて正直に棚卸しましょう。

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