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2024年の初めの所感

2024年の初めの2日間で日本では北陸地方での大きな地震災害と羽田空港での航空機事故がありました。多くの方々が2024年はどうなるのかと不安な思いをされたことでしょう。何よりもまず、これらの災害・事故でお亡くなりになった方々に哀悼の意をお向けし、お怪我をされたり心に傷を負った方々の回復をお祈りしたいと思います。

さて、2024年を始めるにあたり「コロナが炙り出したものはなんだったのか」と考えました。思うに、それは個々の民族性やイデオロギーがやっぱり皆それぞれ自身の帰属の単位であり大事だと思っているということだと思いました。国・地域・民族・コミュニティ・家庭が互いに互いから分断して感染が広がることへの防御体制を取りました。これが生み出したのは、昭和の「人類皆兄弟」「We are the world」といった無邪気に自者を他者と同一集団に属するとみなすのではなく、自身のコミュニティを再認識したうえで協力関係を持とうよと、それぞれが違うことを尊重して違いを残したままできる範囲で協力しあおうよ、という異種共生的なスタンスなのだと考えています。

異種共生的なスタンスが及ぼす影響を経済の観点で言えば、独占し所有することでではなく周囲から自身の個別性を認識しあうことに安心感という価値を見出す、そういう価値観への変化が加速したと思います。これは奪い合い勝ち取って独占することを許容する競争型資本主義社会からの離脱をも意味していて、互いの許容性が高い社会というのは争いも少なくなり、資産を社会的に共有しようとするので消費に依存する経済成長には寄与しないため、世界が経済的な成長の伸び代を失っていることと無関係ではないと思います。こうした背景から2024年以降も世界的な経済の成長鈍化は続くと見ています。

このような変化と並行して、世界的な経済成長の鈍化により産業構造にも明らかな変化が加速しています。従来の繁栄は新たな考え方や付加価値の創出とともに雇用を生み出していたのに対して、昨今の繁栄は「コスト削減・効率化・自動化」という名の下に、全く新しい新規雇用を生むような付加価値を生み出すのではなく、従来は人間が担っていた仕事をコンピュータに置き換えることでコスト削減・効率化・自動化を行い、職を失った多数の人々の横で少数のそれを行った側だけが繁栄を享受するというのが多く見られます。こうした貧富の差の拡大傾向が起きていることも事実ですし、このような奪い合う社会からの脱却を求めて先に述べた共生的なスタンスが増えてきた経緯にもなっていると思います。

上記の背景から、私は2024年のキーワードは「異種共生的なスタンス」かと思っています。奪い合うのではなく、他者と同化するのでもなく、それぞれのアイデンティティが独立した状態で強調し合って回っていく社会が世界的に求められていると考えています。

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